才媛(さいえん)の商社パーソン高柳茉煕と、北条物産創業家の北条龍太が、パーティーの余興で共演(^^♪
150名規模の部署内表彰式後にふるまわれた立食パーティーで余興の一幕。 西陣織経錦名物裂(にしじんおりたてにしきめいぶつぎれ)を立体縫製したお手製のワンピースをまとう高柳茉煕は、北条龍太の実母の実家が設立運営する財団から今夜の余興のためだけに拝借したストラディバリウスを手にしている。
彼女は、勉強がよくできただけでなく、バイオリンもプロ並みの腕前である。 北条物産会長・北条氏仁の三男である加山龍三の長男であり、加山李杏の実兄、そして祖父氏仁の養子でもある北条龍太は、茉煕のかたわらの椅子(いす)に腰かけてホーナー製のプロフェッショナルなアコーディオンを抱えている。
曲は、アストル・ピアソラの名曲『リベルタンゴ』。
――ティヤッタ・タヤ・タッタ、ティヤラ・タヤ・タタ……ティヤッタ・タヤ・タッタ、ティヤラ・タヤ・タタ―― アコーディオンを体の前に抱える龍太の背中が三・三・二のリズムを刻む、八分音符の主旋律(メインメロディー)が続く。
――ディ~~~ッ・タリヤ・ティヤ・タ~~~ッ―― 十七小節目あたりから始まる対旋律(カウンターメロディー)をバイオリンがになう。
約束されたテンポを忠実に再現し、時おり、攻守交替する掛け合いにも破綻(はたん)しない音楽は、聴衆の高揚をかき立てた。 演奏は、ヌエボ・タンゴの情熱そのものである。

